小幌駅その3 (室蘭本線)
◆小幌駅の住人はもう居なかった。
必死の思いで何とか崖の上まで戻ってきた。住人の住居跡だと思われる森の中の残骸の中を通って獣道は、小幌駅へと続いている。
長万部方面行きの下り線ホーム側にあるオンボロ待合室周辺は草が鬱蒼と茂り、人を寄せ付けない雰囲気のようだった。昨年はこの待合室から煙が出ていて人の気配があったのだが、もうここには住人は居ないようである。待合室に入ってみようかと思ったのだが、なんだか薄気味悪かったので中を拝見するのは止めにしたのだった。
小幌駅の上り長万部方面のホームは、茶色く錆びた鉄製のホームである。手摺に触れると錆びた鉄がとても気持ち悪い。床の鉄板も錆びきっていて底が抜けそうなくらいぶよぶよしているようであった。トンネルに引っ付くように造られた上りホームは、トンネルの反対側から列車が進入すると、「ドン」と大きな音がする。やがてトンネル内から強風が吹いてきて列車が通過する。それとトンネル内から列車の接近を知らせるブザーが鳴り響いていて不気味な感じがするのであった。
しばらくすると下り線にDF200牽引の貨物列車が通過した。ディーゼル機関車なのに、電気の「ウーン」という唸るような音の方が鳴り響くDF200電気式ディーゼル機関車であった。
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